message in a bottle

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message in a bottle

 気がつくと、男は、波打ち際で目が覚めた。ここは、どこだろう?体のあちこちが痛む。朦朧とした意識の中、どうしてこんな所に居るのかを必死に思い出そうとした。ところが何も思い出せない。自分の体を見た。どうやら、肌の感じからして、十代から二十代。日本人男性。わかるのはそれだけだった。  そうこうしているうちに、太陽は容赦なく海辺を焦がしてきたので、男は重く痛む体に鞭打ち、何とか木陰へと移動した。見渡す限り海岸と森しかない。無人島なのかもしれない。海岸線を歩いてみたが、どこまで行っても道はなく、人家も見えない。ここは日本なのかすらも、わからない。無駄に体力だけが失われていく。このままでは、衰弱して死んでしまう。  まずは、やはり飲み水の確保をしなくてはならない。目の前にたくさんあるのは、海水ばかりでとても飲めたものではない。雨でも降ってくれれば良いが、太陽は容赦なく照り付けて、しばらくは恵みを与えてくれそうも無い。     海水の蒸留を考えたが、火をつける物も無いし、だいいち道具も見当たらない。となると、小川や湧き水を見つけるか。しかしながら、今はそんな体力は無い。     
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