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私を浮かせていた肺の空気を吐き出して、バランスを取っていた身体の力を抜いていく。
するとすぐに、この身は海へと沈み始めた。
――海も、空に負けることなく、とても綺麗。
この辺りの海は夜になると、月と星の光を浴びて、翡翠色に染まる。
まるで南国の強い陽射しを浴びた海みたいに透明で、澄み渡るエメラルドグリーンが私を包んでくれていて。
その優しい色合いに……涙が流れてしまう。
水面の先から揺らめく銀河に、さよならを。
私を包み込んでくれる静かな海へ……ありがとう。
私の口から漏れ出す気泡。
ゆらゆらと揺らめいて舞い上がる。
星々の瞬きを集めて、まるで一つ一つが翡翠色した宝玉のよう。
ころころと変わるその輝きの中に……しまっておいたはずの情景が――蘇る。
貴方と、この海で初めて会ったあの日。
初めはお互いぎこちなかったけれど、幼い私たちはすぐに打ち解け合って、どちらからともなく一緒に遊び始めた。
砂のお城を作って、押し寄せる波間に小さな生き物を探して、しょっぱくて冷たい水を掛け合って。
それからいつも、一緒だった。
いつも一緒に朝から出かけて、遊んで、夕方遅くなって怒られて。
幼さから傷つけあったことも、沢山あったね。
些細なことで喧嘩して、私が泣いて、君まで泣いて。
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