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「舞ー、黒木くん、いかへんの?」
ともみの気だるげな声。
暇なんだな、みんな。なにか刺激的なこと探してるんだな、って思いながら私も探す。刺激探してる。
「黒木くんなー、かっこいいけどなー、きっかけないしなー」
間延びして話す。放課後の教室。夕日がきれいなのに、誰も窓の外は見てない。気だるげな空気。退屈すぎて、まだ1日を終わらないというように、5人くらいが散らばってる教室。
「え、きっかけなんてそんなん作るもんやん!いこーや!なんでもするし!」
刺激の種を見つけてともみの目が輝き出す。かわいい。楽しそうにしてる女の子って可愛い。
「えーほんまー? でも、対して喋ったこともないし…。」
「いけるって!舞可愛いし!いけるいける!明日喋ろうや!」
「えー…急やわ…」
「舞意外と人見知り?」
ともみが丸い目をして聞いてくる。ともみはつやつやの髪をしていて、前髪をきれいに巻いていて、少し派手な色付きのリップをつけていたので、入学して最初に喋りかけた。友達になりたいと思ったから。可愛い子。
「んー、いやまぁ、人見知りではないと思うけど…。でも黒木くん、結局何部入ったんかもわからんしー…話題が…」
「ええやん明日聞こうや!」
ともみがずんずん前のめりになってくる。可愛いなぁ。私もこれくらい可愛かったらなぁ。
「よっしゃ、明日話す!!一緒に行くから話そな!!」
ともみが高らかに宣言する。私じゃなくて、ともみがいけばいいのに。でも、ともみはひとつ上の先輩にお気に入りがいるそうで、慎重に行くらしい。
高校生活もこんな感じか。ってくらい、あっけなくすぎたせわしない4月。もう、葉桜とも言えない。
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