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「おはよう!」
ともみの声は響く。何人かがこちらを振り返る。ともみ可愛いもんな。わかるわかる。
「おっ……す」
「黒木くんやんな!私、柿本ともみっていうねん!よろしく!そんでこっちは宮尾舞。舞って気軽に呼んでな!」
「ちょっと、なんでともみが言うん!」
笑いを含めながら明るく言う。ともみに乗って、明るく明るく。
黒木くんは、朴訥そうな、少し髪の長い男の子で、色が白い。顔の造形が整っている。目がきれい。切れ長。
「柿本さんに宮尾さんやろ、知ってるで。」
ようやく黒木くんが言葉を発した。中性的な声。まさか、まだ声変わりしてないのかな。判断に困る高さ。
「ほんまー!?嬉しい!私のこともともみって呼んでなー!」
ともみは本当に明るい。
「今日の数学の課題やってる?黒木くん賢そうやからさー!答え合わせさせてくれへん??」
ともみが作る流れは自然。黒木くんは、あぁ、とかうんとか言いながらノートを取り出そうとする。
ほら、はよう!
ともみが小さく私をせっついて、私は自分のノートを取りに机に戻る。
もうチャイムなるな、と考えた瞬間にチャイムがなって、またあとで、的な挨拶を交わしてともみがこちらに戻ってくる。
にやにやして、してやったりの顔。
私には、ともみみたいにはなれないな。
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