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プロローグ『6日前』
ページを捲る。パラリ、と。
そうしてそこにある時間が動き出す。
古い数字が印字されたページが閉じられ、その上に新たな数字が表示される。小さな文字列が、新たな続きを生み出す。
ある筈のない嘘っぱちのお話。
けど、そこに書かれる言葉いつだって本物だった。
パラリ。
「流されて、押し潰される。それは、太古からこの世界に受け継がれる決まりなのさ」
目の前に立つ男がそう言った。ずっと、相棒だと思い続けた男。そして、国を裏切った男――その相手に、僕は手にしていた銃を向ける。
「決まりだと?」
「そうさ、決まりだ。古いものは皆、押し潰されるようにこの世は出来ている。新しいものがその位置を確立させる為に、そうするんだ。そうして、押し潰されたそれは、次第に人々から忘れ去られていく。世界とはその繰り返しで成り立っているんだ」
彼が口の片端を大きく持ち上げる。もう逃げ切れないとわかっているからなのか、それともまだ奥の手が残されているのか、銃を向けられているというのに、男の様子はどこか余裕のあるものだった。
有利なのはこちらの方だ。なのに、なぜか僕の背筋を冷たいものが伝っていく。
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