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0日目ー1『10月14日(水)』
秋と冬の境目がいつ頃かと言えば、基本十一月、というのが世間の考え方だ。
けど、十一月じゃなかろうがなんだろうが、秋に入れば世間はそれなりに寒くなり始めるし、半そでだった制服は次第に長そでへと姿を変えていく。それに、人間が温かみを求めるに比例して、街路樹達が葉の服を脱いでいく姿は見ていて寒々しいものだし、まだ冬じゃないと言われても、こちらの気分としてはもう充分冬で良いじゃないか、と思ってしまう。
『蓑虫』こと、『蓑井芳江(みのいよしえ)』が自殺したのは、そんな十月の半ば――体育の日、だなんてよくわからないが学生的にはラッキーな、三連休明けの日の夕方のことだった。
******
最初に、俺がそれを知ったのは朝食時のことだった。顔を洗い、制服に着替え終えた後、リビングのテーブルの自分の席について朝飯のパンを食べていると、それまで俺の横の席で同じ様に朝飯を食べながらテレビを観ていた姉が、突然声をあげた。
「ねぇ、ちょっと。これ、アンタの中学校じゃない?」
「はぁ?」
んなバカな、と思いつつも、ほら! とうるさい姉に促されてテレビに顔を向ける。
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