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「泉田君がなんであんな危ないことをしたのか、だからあたしには全然わからない」
「ごめん、鮎。あたし、無神経なことを聞いた」
清乃が神妙な顔で言うと、他の生徒たちも気まずそうにあさっての方向を見た。
あれ? なんでみんなそんな反応なの? ってか、さっきの清乃の質問、そんな無神経だった? ぼんやりとそんなことを考えてから、あたしは両手がじんわりと痛いことに気がついた。さっきから握りっぱなしの掌に、のばしてないはずの爪が食い込んでいたのだ。
どうやらあたしは、さして親しくもなかった男子生徒の死に少なからず動揺しているらしい。
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