振り返れば、そこはある

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秋口には弘前城の菊人形祭りを見たいと仙台の冷たい風を受ける。 山のように溢れた追試と出席日数の足りない学校。 その情報はきっちり津軽の母に伝えられ、母は電話をかけてきては「帰りたくないか?」と訊ねる。 何十回も「大丈夫」を繰り返したあと、私は「帰りたい」と確かに母に言った。 その数日後、私の口座に青森駅までの片道分の料金が振り込まれた。 仲間にも管理人にも告げずに、それを下ろしていつもの長町一丁目の駅から地下鉄に乗り、仙台駅へ。 そして、盛岡行きの新幹線に乗り、盛岡で特急に乗り換え青森駅へ。 ひさびさの青森は雪に溢れ、みな口々に「さびぃな」と津軽訛りを口にしていた。 なんとも情けなかった。
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