第2章 メモ用紙

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

第2章 メモ用紙

有川は、孤独な僕を救い出してくれた、唯一の人だった。 それは今でも、変わらない。 でも…、手紙のことは、少しやりすぎだとも思う。 結局僕は放課後、有川と調査をしなければいけなくなるのだろう。 前までは分かっていたはずの、有川の心が、今は全く理解できない。 僕の心を理解してくれた有川を、自分もさも理解していたようにしたかっただけかもしれないが…。 そんなことを思っていたとき、後ろからすっと手が伸びてきた。 手紙、だ。 メモ用紙に書かれた小さな手紙。 僕は先生に見えないように、それを左手でノートにはさんだ。 …見えた文字。書かれた言葉。 どうして、手紙を渡したのか…. 一瞬で理解できた。 だからノートにはさんだ。 後で思い出せるように。 …書かれていたのは、 「私に気づいて。」 だった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!