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友達4人で、海へドライブに出かけた時の話です。
海水浴をたっぷりと満喫し、S君の車で帰ろうとする頃には、もうすっかり日が暮れていました。
みんなそこそこ疲れてはいたのですが、眠ってしまっては運転手のS君に申し訳ないと、しりとりや伝言ゲームや雑談などをしながら、道中を賑やかに過ごしていました。
その時です。
助手席に座っていたM子が、
「あの子、さっきからずっとこっち見てるねぇ」
と、高速で前を走る乗用車を見て、微笑ましそうに言いました。
後部座席にいた私とY君も、どれどれと前の車を視界に捉えます。
クリーム色のコンパクトカー。
バックドアのガラスの向こう、小さな男の子がシートから身を乗り出し、こちらを見ているのが分かります。
「やっほー」
M子が男の子に手を振りますが、彼はじっとこちらを見つめたまま。
「愛想のないガキだなぁ」
「眠いんだよきっと」
そんな事を言ってていると
「あれ、もう一人いた」
いつの間にか、男の子の隣りに女の子が並んで、同じようにこちらをじっと見ています。
「兄妹かな? あ、また増えた」
3人目も女の子でした。
はしゃぐ事もなく、彼らは私達の方を見つめてるのです。
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