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「ぐはっ!」
爪が出てなかっただけまだ良かったが、一瞬お花畑の向こうに亡くなったおばあちゃんが見えた気がした。
あちこちから聞こえるクラスメートの悲鳴。
猫はそのぽよんぽよんした体からは想像もつかない動きで教室中をかけまわる。
「あー、もうどうすりゃいいんだよっ!」
僕が叫んだ瞬間。
「停止」
その声が響いたと同時に、猫の動きがピタリと止まる。
「魔法学書、124ページ。停止の呪文」
席についたまんま、小さな杖を猫に向けながら、無表情で本をめくる小さな男の子。
「一昨日習ったはずですが、忘れましたか?」
男の子はそういいながら、鼻からずり落ちそうな眼鏡を指で押し上げた。
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