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「亮太」
名前を呼ばれた瞬間、いきなり頭にバコンとぶあつい本が降ってきた。
「いってぇぇ!なにすんだよ雅(みやび)」
僕が痛む頭を抱えながら、本を落とした張本人をギロっと睨む。
切れ長の黒い瞳に長い黒髪。
細い縁の眼鏡をかけて、僕を見下ろしている少女…雅は無表情のまま言葉を続ける。
「亮太は確か今日の当番の筈だが。いまだに黒板が前の授業のままなのは、委員長の私に喧嘩を売っているのか」
男のような言葉使いに氷のような冷たい声色。
まあ、それは僕にだけじゃなく、誰にでもそうなんだが。
「わーったよ、消すって」
しぶしぶ僕が席から立ち上がった時。
「うにゃにゃ、りょーくん待って待って」
能天気な可愛い声が後ろから聞こえた。
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