ある彼女たちの会話

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ある彼女たちの会話

「ねぇ、タツノオトシゴって知ってる?」 「たつのおとしご?」  揺れる波に乗って、自身の体も揺らす。  天高く昇っている月とたくさんの星が、海面を輝かせ、まるで宝石のよう。  そんな綺麗なところで、お友達のニーニャは、嬉しそうに話す。 「たつのおとしごってね、一度夫婦になると、死ぬまで愛を注ぎ合うんだって! それにね、愛する人に変わって、夫が子育てをするらしいよ! 主夫の鏡よね」 「へぇ。その間、妻は何してるの?」 「傍にいるんだよ」 「へ?」  何のためにいるのやら。  そんな私の答えに、ニーニャは少し笑った。  大好きな人のそばに居るってだけで、幸せってこともあるのさ。  そう言うニーニャは、大きなお腹を摩る。  もう直ぐ彼女はママになる。  相手は人間。  未知の世界へ旅立っていくのだ。
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