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二人揃って後ろに暗雲を漂わせ始める。
最も二人の近くに居た時雨は、そんな二人の様子にいち早く気付き、冷や汗を流し始める。
それでも口を挟まないのは、自分が口を挟めば事はより面倒な事になると、勘が告げていたから。
傍から見れば非常に異様な光景だろう。
だが、やはりと言うのだろうか。
何処にでも、”空気の読めない奴”と言う者がいるものだ。
そして、それは時雨達の前に居るこの男も例外ではなかったらしい。
巴達の冷え冷えとした視線に気付くことなく、話し続ける。
「大体だなぁ、お前たちがさっさと天音を連れて来ないのが悪いんだぞ?だからこの俺が気を利かせて迎えに来てやったと言うのに、何だ、その顔は。俺は神だぞ?もっと敬ってくれても良いんじゃないのか?」
ぺらぺらと男の口から出てくる言葉に、巴と夜光の周辺温度が更に下がった。
最早肌寒いなんて言うものじゃない。
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