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絶対零度と言われても、時雨は信じるだろう。
それ程までに空気がひんやりとしていた。
寧ろ、肌が痛い位だ。
しかし、当然の如く目の前の男はそれに気付かない。
仮にも神と言うのならば、気付いても良いのだはないだろうか。
神でこの鈍感さは頂けない、と思う時雨であった。
その後、遂に我慢ならなくなった巴と夜光に男はのされたのだった。
「ゴホン。えぇ、さっきは済まなかった。俺は、バッカス。酒と酒宴の神だ。知ってる奴は少ないだろうがな。久しぶりの異界だったのでつい、気分が高揚してしまってな。何時もの様に巴と夜光をからか・・・との再会を楽しんでいたのだよ。気にしないでくれ」
「『『・・・・・・』』」
今さり気無く誤魔化したけど、確実に揶揄うって言いかけたよな・・・、と時雨は思う。
そして、巴と夜光をちらりと盗み見れば、笑顔ではあるものの、その蟀谷にははっきりと血管が浮き出ていた。
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