第5章 愛し子

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 それを見た時雨は、何事も無かったかのように視線を逸らした。  無暗(むやみ)にその事に触れて、巴と夜光の逆鱗(げきりん)に触れるのは御免(ごめん)である。  しかし、そんな二人の逆鱗に触れたこの、酒と酒宴(さけうたげ)の神とやら。  とんだ馬鹿(ばか)らしい。  「・・・あぁ~、バッカスさん、でしたっけ?それ以上はもう止めといたほ・・・うが・・・」  『へ?』  「あぁ~・・・遅かったか・・・・・・」  そう言って時雨は手を頭に当てて、途方(とほう)に暮れた様な顔をした。  そして、時雨に忠告(ちゅうこく)されたバッカスはというと。  『あ?何のことだ?』  (いま)だに何のことか気付かずに、?を浮かべていた。  本当に救われない、というのはこの事だろうか。
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