第一章 学生・・・?

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 思わず時雨は言い返した。  しかし、言ってしまってから、しまった、と思った時には、すでに遅し。  「ちょっと!尋都が態々(わざわざ)声をかけているのに、五月蝿(うるさ)いって何よ!話しかけてもらっているだけ感謝なさい!」  耳を(つんざ)く様な甲高(かんたか)い声。  その声に時雨は、(わずら)わしさを覚える。  その声の主は、尋都の取り巻きたちである。  元々、睡眠(すいみん)邪魔(じゃま)されてイライラしていた時雨の怒りはピークだ。  誰に対してもそうであるが、少しでも尋都に敵対するようなことを言えば、取り巻きたちが出てくる。  面倒な事この上ない。  これが男女共に嫌われている理由。  勿論それだけではないが。  しかし、このままでは時雨の堪忍袋(かんにんぶくろ)()が切れてしまう。  そうなる前に何とかしなければ、と思っている綾斗とは裏腹(うらはら)に、未だにきゃんきゃん (わめ)き散らす取り巻き。
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