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応えてくれた巴に礼を言って、滅多に笑わない時雨が微笑んだ。
人間界に居た時ですら人を魅了したその笑みは、神々しい姿によって倍増しされる。
天狐の長である巴ですら、魅了するほどに。
『っ!・・・私は神から遣わされた。貴方に仕える者。それともう一人・・・』
一瞬顔を朱色に染めながらも、さすがは天狐を率いる長。
瞬時に元の顔に戻し、別の事を話し始めた。
しかし、話は逸らしたとはいえ、時雨に関することだ。
話していた言葉を一旦切り、巴は何もない空間に目を向けた。
すると、巴が現れた時同様、風が渦巻き始める。
しかし、巴の頃よりは心なしか穏やかで。
恐らく。
いや、かなりの確率で、気のせいである。
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