第3章 異界

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 何故なら、風の勢いは巴の時と全く変わらない。  巴ので時雨が()れただけである。  暫くして風が収まる。  風が渦巻いていた中心には黒に近い青の髪を巴とは反対に、淡泊(たんぱく)に結い上げた麗人(れいじん)が立っていた。  『彼は夜光(やこう)。我と共に神より遣わされた天狐。我と(つい)であり、獣人(じゅうじん)をまとめる獣王(じゅうおう)である』  『・・・・・・夜光だ。(よろ)しく』  巴に紹介された夜光と言う天狐は、ぶっきらぼうに応える。  更に、獣王と来た。  何か色々と驚きだ。  夜光は、巴とはいろいろ正反対なイメージがある。  巴が真昼だとすると、夜光は真夜だ。  まるで光と闇を纏う、対のように。  正反対の空気を纏う二人は、なるほど。
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