第3章 異界

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 ついと言われれば確かに、と納得できる。  「あ、宜しく。俺は・・・」  『時雨』  「え?」  夜光は、自己紹介をしようとした時雨を遮り、時雨の名を呼んだ。  それに、時雨は(はと)豆鉄砲(まめでっぽう)を食らったような顔をした。  夜光は、そんな時雨の方に向き直り、真正面から時雨の目を(とら)える。  『知ってるよ。時雨、でしょ。神から聞いた。天音(あまね)時雨(しぐれ)』  真摯(しんし)な顔で告げられた名。  しかし、一つ気になる事が在った。  「ちょっと待て、俺の名前は音無だぞ。天音じゃない」  そう、名前。
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