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時雨は天音と言う苗字ではない。
何故音無ではなく、天音と呼ぶのだろうか。
何かを勘違いしているのだろうか。
『いいえ、合っていますよ。貴方は確かに天音です。音無とは、下界でのあなたの名前。云わば仮初の名です。貴方は本来、天音と言う名です。夜光の言った名前で合っているのですよ』
時雨の疑問に答えたのは、巴だった。
夜光は未だ、真摯な顔で時雨を見つめていた。
いや、少し違うだろうか。
どちらかと言うと、夜光は感情があまり表に出ない様だ。
夜光と顔を合わせて此の方、無表情以外見ていない。
笑った事などあるのだろうか。
見てみたい、と。
思った。
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