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早速時雨の名を呼ぶ巴。
そして、言葉をそこで切った巴は、時雨の瞳を真っ直ぐに見据え、口を再び開く。
『貴方には新たに貴方の瞳に宿った、参つの力について、ご説明致します。ご自分で気が付かれているでしょうか。常時貴方の両瞳の中に魔法陣と呼ばれる物が浮かんでいる事を』
巴にそう言われて、時雨は目を見開く。
そして、慌てて自身の手を目元に伸ばす。
しかし、自分から見えるはずも無く。
時雨は僅かに困ったような表情を浮かべた。
それを見た夜光が、何もない空間に手を伸ばす。
すると掌の上に、光のような瞬きが集まりだした。
光は、だんだんと形を成していく。
光が収まったころ、夜光の掌の上に浮かんでいたのは、丸い鏡だった。
『・・・ほら。これで見えるだろう』
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