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夜光は鏡を乗せた手を、時雨の方に向けた。
どうやら、見かねた夜光は時雨の為に鏡を出してくれたらしい。
「あ、有り難う・・・」
時雨は、突然の事に驚きながらも、夜光に礼を言う。
で、礼を言われた夜光はと言うと。
『別に・・・礼を言われる様なことはしてない』
顔を時雨から逸らしながら、素っ気無く切り返す。
しかし、その頬は薄っすらと朱色に染まっていた。
その姿に、巴は驚き、時雨は微笑ましく思っていた。
普段、感情を露にしない夜光が、くるくると表情を変えているのだ。
巴が驚くのも不思議ではない。
一方時雨は、無表情な夜光ばかり見ていた。
その為、素直に夜光が感情を表に出してくれて嬉しいのだ。
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