第4章 新たなる力

4/19
891人が本棚に入れています
本棚に追加
/106ページ
 そんな事を考えている時雨だが、時雨も負けず劣らずである。  時雨も生前(せいぜん)無表情が多く、極偶(ごくたま)に見せる笑みは、(まぼろし)の笑みと(ささや)かれる程だった。  その微笑みを見た者は、(ほとん)どが顔を赤面(せきめん)させる程の威力(いりょく)を持つ。  しかし、時雨はそれに気付かない。  実に質の悪い、天然君であったりするのだ。  つまり、結果論で言えば、どっちもどっちである。  生前の時雨を知っているだけに、巴は(なか)(あき)れた笑みを浮かべた。  そんな事をつらつらと巴が考えている内に、時雨は夜光の手に乗っている鏡を覗き込む。  そこに映ったのは、漆黒(しっこく)の瞳から鮮やかな白縹色(しろはなだいろ)に変わった瞳と。  「本当だ・・・何か丸い模様(もよう)がある・・・しかも目の色まで変わってたんだ・・・青では無いけど、白を含んだ(あわ)い色。不思議な色・・・」  白縹色(しろはなだいろ)の瞳から除くのは、円陣型で複雑な文字のようなものが書き込まれた物。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!