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そんな事を考えている時雨だが、時雨も負けず劣らずである。
時雨も生前無表情が多く、極偶に見せる笑みは、幻の笑みと囁かれる程だった。
その微笑みを見た者は、殆どが顔を赤面させる程の威力を持つ。
しかし、時雨はそれに気付かない。
実に質の悪い、天然君であったりするのだ。
つまり、結果論で言えば、どっちもどっちである。
生前の時雨を知っているだけに、巴は半ば呆れた笑みを浮かべた。
そんな事をつらつらと巴が考えている内に、時雨は夜光の手に乗っている鏡を覗き込む。
そこに映ったのは、漆黒の瞳から鮮やかな白縹色に変わった瞳と。
「本当だ・・・何か丸い模様がある・・・しかも目の色まで変わってたんだ・・・青では無いけど、白を含んだ淡い色。不思議な色・・・」
白縹色の瞳から除くのは、円陣型で複雑な文字のようなものが書き込まれた物。
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