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新しい力についての説明を受けて、長い時が過ぎた。
時間と言う概念のない異界ではあるが、時間が経っているのは事実である。
どれだけの時間が過ぎたのかは分からない。
しかし、長い時がたったのは確かであった。
『時雨様、魂が完全に定着したようです。此れより神の元へ向かいたいのですが、宜しいでしょうか』
ボーっと物思いに更けていた時雨に、巴が話しかけた。
力の説明が終わって以来、巴は夜光と時雨の前でだけ、素でいるようになった。
それは、好ましい変化であると時雨は思う。
素でいるのは、無意識に安らぐ。
その為、ストレスが溜まりにくくなる。
自分の所にいる時くらい、無理をしてほしくない、と言うのが時雨の思想だった。
「分かった。夜光も一緒に行くのか?」
巴の声に返事を返しながら、時雨は夜光の事を聞く。
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