第5章 愛し子

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 新しい力についての説明を受けて、長い時が過ぎた。  時間と言う概念(がいねん)のない異界(いかい)ではあるが、時間が経っているのは事実である。  どれだけの時間が過ぎたのかは分からない。  しかし、長い時がたったのは確かであった。  『時雨様、魂が完全に定着(ていちゃく)したようです。()れより神の元へ向かいたいのですが、(よろ)しいでしょうか』  ボーっと物思(ものおも)いに更けていた時雨に、巴が話しかけた。  力の説明が終わって以来(いらい)、巴は夜光と時雨の前でだけ、素でいるようになった。  それは、好ましい変化であると時雨は思う。  素でいるのは、無意識に安らぐ。  その為、ストレスが溜まりにくくなる。  自分の所にいる時くらい、無理をしてほしくない、と言うのが時雨の思想(しそう)だった。  「分かった。夜光も一緒に行くのか?」  巴の声に返事を返しながら、時雨は夜光の事を聞く。
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