891人が本棚に入れています
本棚に追加
優しい時雨のままだ。
巴は夜光には劣るが、かなり変化した部類に入るだろう。
時雨の前では自身を取り繕わなくても良くなった為か、以前よりも親近感を持てるようになった。
巴は普通だと思って居たようだが、時雨にしてみれば、巴は機械的に物事をこなすだけで、痛々しいとすら思えた。
今ではそんな雰囲気は一切ないが、それでも。
天狐が近くに居る時は、以前の堅苦しい言葉遣いになる。
それも辞めたらどうだ、と時雨も巴に告げたが、威厳は必要だから、と巴は断固拒否した。
時雨も異界にいる間、巴の元を訪れる天狐たちに会う事もしばしばある。
その中で時雨が見た限り、巴が元の口調に戻っても何か苦情やら不満やらを言うような天狐はいなかった。
寧ろ、巴にはもう少し気楽にしてほしいと思って居る様だった。
そんな事をつらつらと考えていた時雨はふと、思い出したように口を開く。
最初のコメントを投稿しよう!