第5章 愛し子

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 「巴、その神の所に向かうのは良いが、どうやって行くんだ?そもそも次元(じげん)が違うだろう。此処とは」  確かに時雨の疑問は最もだろう。  何せ、今時雨達が存在しているのは、夜光と巴の創り出した異界だ。  長い間その異界の中にいた時雨は、暇つぶしにと色々調べたり、巴達から教えてもらったりしていたのだ。  その中には勿論、数多(かずおお)くの神話だったり神の名前だったり。  そして、次元についても。  本来ならば、異界を創る事すら大変な事なのだ。  そして、無理に創られた異界は空間を(いが)める。  その為、異界から直接(ちょくせつ)(ほか)の世界に飛ぶ事は出来ないのだ。  そんな事が出来るのは神だけだ。  時雨達がいる異界自体は、時雨を保護するための場所だからと、歪めてしまった次元を神が直した。  『あぁ。それは簡単です。神が移動手段を用意して下さいましたので、それで』
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