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先程僕達が座っていたベンチに全身ずぶ濡れで、べちゃべちゃのぐちゃぐちゃな手入れなんてされていない古いモップの様な黒く長い髪を垂らし、枯れ木の様に細くて直ぐに折れていしまいそうな黄土色の手足、ボロボロで汚い肩に引っ掛けている状態の薄紫色のワンピース姿の女性が落ち窪んだどこを見ているか分からない濁った瞳をゆらゆらさせながら顔は僕らの方に向けていました
それだけでも恐ろしいのに、女の顔は180度回転していて首が折れているのだろうと幼いながらに察せられました
たった2m程の距離に生きているとは思えない女が居たとなれば僕達はもう叫ぶしかありません
だけど、どれだけ叫んでも誰も来る様子がない
公園付近は住宅街で110番の家だって多かった筈なのに誰も来ない
いよいよ可笑しいと思い、僕は自転車の鍵に付けていた当時ハマったアニメの影響で買った晴明神社の御守りを求めて2人の手を再び引いて駆け出し、3人揃って自転車のペダルを全力で漕ぎ出した
すると、お約束というのか
やはりずぶ濡れ女は僕らの後を追って来た
本物の蜥蜴なら可愛いが、人間が蜥蜴の真似をして追って来るとなれば心底気持ち悪い
僕達は絶叫しながら必死にペダルを漕ぎ、急ぎ過ぎてペダルを踏み外して脹脛をペダルの縁で引っ掻き血が滲んでも気にする事なく漕ぎ続けた
その間、片手漕ぎまでしかできない僕はこれまたアニメ知識のマントラを印も結ばず狂った様に唱え続け、友達は某笑顔動画で見たらしい曲を歌い続けた
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