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「ナウマクサンマンダバザラダンカン!!ナウマクサンマンダバザラダンカン!!」 「悪霊退散!!悪霊退散!!」 「悪霊退散!!悪霊退散!!」 今思えば気休めにしかならない言葉を唱え続け、立ち止まる事だけはしない様に必死だった どれだけそうしていただろうか 四辻を3つ抜ければ大通りだというのにどれだけ漕いでも大通りに辿り着かなければ誰ともすれ違わない 元々インドア派な僕ら3人は体力も既に限界 このまま捕まったら殺されるのかと泣きそうになった時、夏風邪を引いて寝込んでいた筈の友人、ゆーちゃんが「こっち!」と大きな声で僕らを呼び、何処かへ先導し始めた 僕らは藁にも縋る思いでゆーちゃんの後を追い、数分もすると雲ひとつ無かった筈なのに雨に降られ始めて視界はどんどん悪くなり、自転車も何度も何度も滑りそうになった やっとの思いで辿り着いたのは見覚えのない神社で、僕はゆーちゃんの後を追って階段を駆け上がり、鳥居を潜り抜けるとその場に座り込んだ 友人2人に真ん中は神様の通り道だから自分と同じ右端の石畳に来る様に声を掛け、3人揃って座り込んだ そうして息を整えて居ると傘を差した優しそうな神主さんらしき男性がどうしたのかとたずねながら慌てて出て来て、僕らは先程あったことをつっかえながら話 「よう頑張ったね このままやったら風邪を引いてしまうさかいお入り、親御さんにも連絡しような」 僕らの頭を撫でながらそう言ってくださった神主さんのお宅にお邪魔しました 神主さんの話では雨は午後からずっと降り続いていたらしく、では僕達は今までどうして気付かず濡れもしなかったのだとさらなる疑問と恐怖に手足がガタガタと震えました 神主さんが用意して下さったバスタオルやあったかいお茶を貰い、息子さんの物だという子供用の甚平を借りて漸く恐怖は去ったのだと息を吐いた時、僕は気付きました
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