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学は鬼達から逃げる様にシートを転がり落ちる。
小鬼は車内を飛び回り、大鬼はもうすぐそこまで迫っている。
学は鬼達から逃げようと後ずさると背に貫通扉、手にはそのノブが触れた。
急いでノブを引き、貫通扉にその身を滑り込ませた。
学は片足に大鬼の手がかするのを感じた。
学が転がり出た先は先程まで居た車両。
中年男性は相変わらず揺れ、聞こえてくるのはヘッドフォンの音漏れだけ。
誰も学に興味を示さない。
ちょうどその時、駅に到着し扉が開いた。
学は慌てて駅に降りる。
降りた駅も何ら変わった所はなかった。
走り出す電車を学は見送り、そこで気が付いた。
学の降りた車両が最後尾。その後ろに車両なんか無かった。
学は夢でも見ていたのかとその場に立ち尽くす。
そして、我に返った学は目的の駅より一つ前で降りてしまった事を知った。
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