第1章

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 学がポケットに手を突っ込んで歩き出そうとした時、後ろからスクーターに乗った二人組が学のショルダーバッグを引ったくった。  ショルダーバッグの紐がポケットに入れていた腕に引っ掛かり、学の体ごと前へと引っ張られ、目の前の電柱に激突した。  学が倒れて起き上がらないのを見て、スクーターは五十メートル程先で止まった。だがすぐに走り去っていった。  気が付けば学はまた電車に乗っていた。  何故乗っているのか、何処に向かっているのかは分からない。  ただ聞き覚えのある音が聞こえてくる。  ズズズッ……ズズズッ……  キーッキーッ  グヂャ  学が音の聞こえてくる方を見ようとしても体は言う事を聞かなかった。  だがその正体の片割れがすぐ学の目の前へと現れた。
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