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その日は雨がシトシトと降っていた。
手を挙げた若い女性の前でタクシーが止まった。
女性は後部座席に乗り込むと
「駅まで・・・」
と一言だけ告げた。
女性は全身ずぶ濡れだった。
突然の雨でもないのに、傘ひとつささずに立っていたのだ。
タクシーの運転手は女性の姿をルームミラーでチラ見すると、思い出したように話始めた。
「タクシーの運転手なんてやってるといろんな客を乗せるんですが、こんな雨の日でしたね。お客さんみたいな若い女性を乗せたんですよ。」
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