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思いの外、橋の建造は困難であった。
もともとこの入江には若い女性の神様がおわすという事で、向き合った2つの集落のそれぞれには小さな祠が祀られて、村人たちの漁の安全や船の運行の無事を祈る場所ともなっていたのだ。
川のような入江は、引き潮ともなると、もとの干潟が姿をあらわすので、そこに数か所石垣を組み、木造の橋の足場とすれば、そう大した苦労もなく、橋は架けられると思われていたのに何故か。
何度足場を組もうとも一晩経つと崩れてしまう。
石垣も何度も組み直しては崩れて流されるという、奇妙な現象が起きるのだった。
困った入江を挟んで向き合う集落の人々は、寄り集うて話し合い。
「コレは祠の女神様が何かお怒りになっておられるのではないか」
という結論に達した。
「村一番の若く美しい娘に嫉妬しているのではないか」というのが一致した意見だったのだ。
そこで2つの集落の長老たちは決めた。
「その娘を人柱にしよう」
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