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2.Deck〈甲板〉
夜の海、星空、月明かり、黒い海面に
光りが反射してる。
芸術系の志奈子の知り合いの知り合い達は、
船のデッキにすわりライフラインに持たれ、船の外に足を下ろし、バタバタさせながらはしゃぎまくる…
「いいですね、こんな夜の航海も」
クルーのヘルムスマン秀樹さんの呟く声。
「そうだね、良かったよ、晴れて」
何となく、夜の海はすべる様に、船を進めてくれる、穏やかな風
湿りけをすこし含んだ海の匂い
初めての真夜中の旅を楽しむ知り合い達は、それぞれ持ち寄った食べ物、飲み物を取り出して、
好き好きに勧め、飲み、食べる。
ときおり聞こえてくる会話
「ワイン、氷で割るのビンボ~だと思わなかったの初めてだ」
小さな笑い声
「海の上って、魔法がかかる
パンが海の塩気で、美味いわ~」
「このヨットの名前は?」
「ウェイブ、波って意味
波にのる」
「サーフィンも、する、ヨットは」
「本当?」
口々に驚きの相槌
「もっと波が立ってる時にはね」
「波頭に舵を合わせて、滑らして行く。
面白い様にヨットがサーフィングするよ」
少し自慢げに聞こえるクルー達の声。
「立たないかな、波…」
ボソッと呟いた声が夜に響く。
「珍し、他人の話は聞こえない葉ちゃんも、参加してる」
甲板の上は無礼講。
のんびりと口々に会話が繋がって。
その間も、湾を出て帆をあげ、風を受けた船は広々とした海原を進んで行く。
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