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6. Bye〈 さよなら〉
葉ちゃんをそっと伺うと、
薄い笑みを浮かべ、一気にビールを飲み干した。
俺には願ってもつかない、程よい筋肉のついた胸、引き締まった上半身に海水をまとわりつかせ、
濡れて張り付いた前髪を片手で後ろに撫でつかせる。
意外と広い額に、
朝の光が眩しいのか、細めた眼差しでこちらを見ている。
突然、横から腕を引かれて
志奈子のイラっとした顔が目に入った。
「何?」
「ハルト…どうしたの?」
「何?」
もう一回返した俺と、離れた所に立っている葉ちゃんを代わる代わる見た志奈子。
何かを吹っ切る様に
思いっきり抱きついてきた。
「ちょっ、」
驚いた俺が慌てて身体を離すと、
「お暑いな~」
とからかうよう声。
「ラブラブダネ~」とか
おっさんくさい掛け声聴きながら、
志奈子の目を覗き込むと、
整えた眉を顰めて一瞬視線を避ける。
「そうなの、ラブラブよ
結婚するんだから」
と、俺もびっくりするような発言
「え?!」
俺が目を白黒させたのと、周囲に宣言したことで気分を変えたのか、
「うーん、そのつもり、将来ハルトが金持ちになったらね」
と冗談に流した。
みんなが口々に、大変だとか頑張れとか言ってる間に、
知り合い達の荷物は岸壁に降ろされ
そこで、短い旅は終わり。
この後まだクルージングを続けて半島をまわる俺たちクルーとは別れて、
彼らは陸路でそれぞれの目的に向かうらしい。
志奈子がそれぞれに声をかけて行く先を聞く中、
俺は葉ちゃんの行く先が気になった。
だけど、志奈子はわざと葉ちゃんには尋ねずに、
結局彼の行く先は分からずじまい。
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