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ハキハキと進行していく海原の礼に合わせて蒼衣たちも「お願いします」と声を揃えた。プールサイドのつぶつぶが裸足に心地よい。
「副リーダーの黒瀬だ。よろしく」
海原のすぐ隣にいた男が、低く凄みのある声で挨拶した。蒼衣たちの挨拶もどもり気味になる。
年齢は見た感じアラサー。背は平均より低めだが、ウェットスーツが強調する引き締まった肉体と、自然な黒髪の中一部だけ金色に染まった前髪が隠す、狼のような静かで鋭い眼光の威圧感は形容しがたい凄みがあった。
まったく蒼衣の知るところではないが、こんな人が子どもに笑顔を届けられるのだろうかと心配になってしまう。
--と、そんな黒瀬兄さんを差し置いて、蒼衣を含めた5名の視線を釘付けにしていたのが3人目の、女性だ。
「汐屋です。昨年入ったばかりの新米ですので、今日は私の方が勉強させてもらうつもりで見させていただきます。よろしくお願いします」
清廉かつ、まだ僅かに幼さの残る笑顔。ぴったりとしたウェットスーツに強調された細長くしなやかな四肢と女性的な曲線。後ろでひとつくくりにされた長い髪は、艶やかな烏の濡れ羽色。
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