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「……そっかぁ、ついに同期でニートは俺だけか」
「まあまあ、一応半分はフリーターだろ! 新しいバイト始めたんじゃなかったっけか、ほら、ピザ屋の」
「やめた」
涼太が言葉を切ってそっと天を仰いだ。
「3日は続けたぞ、俺にしてはもった方だ。店長は愚痴っぽいし、少し早く入ったってだけで高校生が俺にタメ口だぞ? あんなレベルの低い奴らと働くなんて」
「何度目だよそうやってやめんの……ダイバーのくせに忍耐力なさすぎだろ」
「だって! 時給もクソ安いのにまかない前にタイムカード切られるし、手は油でギトギトになるし客は図々しいし」
「結構普通だぜ、それ?」
まだいくらでも羅列できたのに、涼太が本気で呆れたようにため息をついたので不本意ながら口を閉じる。
「忍耐とか、愛想笑いとか、ほら、八方美人に徹するってやつ? そういうのがお前の壊滅的な苦手分野だよな。そんなんだから面接で落とされんだよ。滑り止めまで滑りまくったのは傑作だったな、ほら特にあれ、安住損保の面接。志望動機なんて答えたんだっけ」
言わせるの何度目だ、思いながら蒼衣はあの日真顔で答えた通りのことを口にした。
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