ドライを極めた男

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田岡はがっくり肩を落とし、しゃあしゃあとした態度を貫く俺との会話を放棄して台所に戻った。 ぶちまけたフライパンの中味を片付ける後ろ姿は、とんでもなく哀愁が漂っている。 そうですね。 俺のせいです。 「なー。拗ねんなよ」 俺も田岡の隣にしゃがみ込み、一緒になって床の上を片付け始めた。 まだ熱い食材を掻き集めていれば、香ばしい焼き加減が匂いとして嗅覚を刺激する。 空腹感がピークに達している今、食えないと分かりつつも俺の腹の虫は正直に鳴いた。 グー、じゃなくて、キュゥっという、情けないタイプの方。 反射的に腹を押さえてみると、隣で田岡が微かに笑った。 「食うなよ、コレは。ちょっと待ってろ作り直すから」 「お母さん。ボク牛肉が食いたいです」 「誰がお母さんだ。肉が欲しいなら自腹で買って来い」 一刀両断。 最近ほとんど毎日奢られるか作ってもらうかしているせいか、前ほど甘やかしてくれなくなった。 ほどほどって大事だ。
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