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笑ってる。
呆れているのはその通りだけど、田岡は俺を目の前にしてクスクスと笑っていた。
「また金欠? こんなトコで待ってるくらいなら入ってくれば良かったのに。ああでも、ここの軽食メニューじゃ山本には足んねえか」
そう取られましたか田岡さん。
一気に力が抜ける。
俺の普段の行いはここに来ても災いしたようだ。
いつものタカリだと思われた。
これは困った。
この雰囲気でいきなり告白しても、またふざけていると思われる。
息が詰まるような気まずさに陥るよりはいい。
俺に負い目ばっか感じて、田岡に辛そうな顔をされるよりもずっとマシ。
でもこの展開、俺は一体どうすれば。
「田岡……」
「どこ行きたい? 腹減ってんだろ?」
減ってるけどさ。
誤解なんだってば。
「肉食いたいんだっけ?」
「え、いいのっ?」
違うだろー!
食欲に負けてんじゃねーよー!
奢ってくれる雰囲気で肉を食わせてくれそうな発言を受け、ピョコッと顔を上げた俺。
しまった、なんて後付けみたいに思った時には笑われている。
その上タイミング良く腹が鳴ったものだから、田岡は余計に笑みを深め、俺は反対に縮こまった。
カッコわる……。
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