意外と成り立つもんですね

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どうにもならなくて横に立っている瀬戸を見上げると、鬱陶しそうに溜息をつかれた。 「ほら見ろ」 「だって……カナコちゃん、分かってくれるし。こんなこと言える人他にいないし。瀬戸じゃ話になんないし」 「うるせえグズ。チマチマチマチマ言ってんじゃねえ」 また怒られた! なんか俺の役回りって損してない?! これだから瀬戸は嫌いだ!! 「なんで俺が山本の相談乗って味方してやんなきゃなんねえんだよ。ゼッテー嫌。それだけはイヤ。俺は田岡の味方しかしねえよ。たとえ世界中を敵に回しても山本の事だけは助けたくない」 「そこまで言うッ?」 セリフの使い方だってきっと合っていない。 普通、「世界中を回しても」の後に続く言葉は、君を信じるとか君の味方だとか。 こいつに言われたらキモイけど。 「瀬戸は分かってない! 田岡、ホントに最近ヤバいんだよ!!」 「知るか。クソバカな山本とヤバい田岡だったら、俺は田岡に付くね」 なんで?! おかしいよね、そんなの! 貶されながら衝撃の宣言を受けた。 愕然とする俺の目の前で、田岡は瀬戸を見上げた。 「いいダチ持ったな、俺は」 「だろ? なんかあればいつでも言えよ。山本やっつけんなら俺に任せろ」 こっちはこっちで結束してるし……。 瀬戸はなぜ、そこまでして俺を貶めようと……。 親の仇になった覚えもないのに、上から目線で瀬戸に嘲笑われてとてつもなく不服な感じ。 一方田岡はようやく自分にも味方を得て、俺の隣にいるカナコちゃんを風悪く顎で示した。 「じゃあ早速だけど頼まれて。この女、すげえ邪魔だから連れてってくんない?」 「んー。了解」 いつからそんなチンピラみたいになっちゃったんだ。 顎で人のこと指すなよ。 この女とか言うなよ。 カナコちゃんは呑気に不満をタラタラ漏らしているけど、隣に回り込んできた瀬戸に腕を取られた。 「ひどいよねー、二人して人を邪魔者扱いー」と、一切堪えていない面持ちで言ってのけつつ、瀬戸の手に促されて渋々立ち上がる。 「ほら行こうカナコちゃん。講義遅れるよ」 「つまんなーい。もっと田岡君にストレス与えたいー。だってこのあたしをフッたんだよっ。あたしの不敗神話ストップ!」 ああ、成程。 そんな神話があったんだ。 田岡に振られて、モテるコのプライドが傷付けられちゃってた訳か。
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