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「お姉ちゃん、そろそろ帰るわ……」
と、ミドリが女の子の方を見ると、「海」と呼んでいた菓子が入ったビンだけが蓋(ふた)をした状態で置いてあり、あの女の子はどこにもいなかった。
そして不思議なことに、ビンの中身は一杯になっていたのだ。
ミドリが立とうとすると、波の音にまじって、
『その海、お姉ちゃんにあげる』
ミドリは思わず海に向って、
「ありがとう。また来るね」
しばらく、その波が寄せては引いていく海を見ていた。
なんか嬉しい気分になってきて、ミドリは駅に向かった。
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