上司がいろいろスゴかった

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*** 「新卒で入社してきた奴はお前が初めてだった。ウチは基本、即戦力が欲しいっつって中途ばっか雇ってきたからな。ちょっと前まで学生だったガキなんか使いもんになる訳がねえ。とりあえず早々に辞められても迷惑なだけだから、どうしたもんかとお前の扱い方考えてて……」 「え、良く声かけて面倒見てくれたのってそんな風に思ってたからなんですか?」 「最後まで黙って聞け。甘っちょろいガキなんかどうせ一年と持たねえと思ってた。確かに最初は。でもお前は意外と要領よく働くし、若くて元気で社内外問わず新入りの評判がかなりいいもんになっていくからよ。いい逸材が入ったもんだと感心させられた」 「はあ……。そう言ってもらえると……」 「最近じゃ大体みんなお前に頼ってる。俺もお前のサポートがあると正直かなり心強い」 「課長……」 「最初は俺の後ろくっ付いて来るだけの仔ガモみてえなガキだったのにな。今じゃ俺と肩並べて歩いてる。追い越されんのもそう先の事じゃねえ」 「そんな事……」 「いや、お前はいい男だよ。なんやかんや見守ってたらお前はメキメキ成長して立派な男前に育った。その上現在進行形の将来が楽しみなタイプとくれば食いたくならないはずがない。お前を見る度クッソ抱かれてえ、なんて結構な重さで思ってる自分にある日ふと気づいた訳だ」 「ちょっと……。いい話……」 せっかく感動してきたところを最後にブチ壊された。 じとっとした目をやるとわしゃわしゃと頭を撫でられる。 子ども扱いに思う所はあるけれど俺はこの人から離れない。
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