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裸のまま、シーツを替えたベッドの上で隣同士向き合って横たわり、くたっと体を沈み込ませてお互いささやかに指先で触れ合う。
俺も課長の頬へと掌を当てた。
その手はすっと、この人に上から握られる。
たまらずに距離を詰めると、しかしそこで課長はふいっと俺から目をそらした。
「……幻滅したか?」
「はい?」
「普段お前に偉そうなこと言ってる上司は実の所こんなどうしようもねえビッチ野郎だ。呆れるだろ」
「何言って……ッ」
「いい。慣れてる。良く言われる事だ。事実だしな」
「え」
よく言われんの?
マジか。
確かに凄いけど色々。
でもだからって。
「なんでそんな……酷い事言うような奴とばっか寝るんですか」
「別にまあ、大抵は行きずりだからな。ヤリたくなったときは適当に男漁りに出て、そこそこ整ってる奴捕まえてくる。一発突っ込んでもらえれば満足するから相手の名前さえ知らない事の方が多くて…」
「ちょ、も、もういいです、言わなくていいんで!」
咄嗟に腕を伸ばし、自嘲を通り越してヤケクソに言い連ねるこの人を抱き寄せた。
しなやかな線を直に感じ、ぎゅうぎゅうに抱き込んでも課長はじっと許してくれる。
「……かちょう」
「ん?」
「……他の人とはもうしないで下さい」
「なんだよ。女とヤレって?」
「じゃなくて! 俺だけにしてください!!」
叫ぶとハハッと、小さく楽しげに笑われて口を尖らせた。
「ガキ」
「どうせガキですよ」
「まだまだ育て甲斐があるな」
その言葉にぱああっと気分が上昇する。
期待感と共に課長を見つめると柔らかく微笑まれて思わず見惚れた。
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