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柔らかい。
健気に躊躇った甲斐があったのか、彼の唇は誘うように微かに開かれる。
遠慮がちに舌を滑り込ませれば、自由になった彼の左手が俺の首に回った。
「……ん……」
漏れ聞こえる吐息。
頭を撫でられ、もっとと強請るような仕草に心臓が揺れる。
彼を拘束していたもう片方の手も放し、その体をぎゅっと抱きしめた。
時折口を外すと追いかけるように下からちゅっと舌を絡めてくれる。
きっと欲しいのは俺だけじゃない。
それが実感できるから、こうも嬉しくて堪らない。
「っふ……隼人さん、……」
「……動、け」
「ん……?」
「このまま……動け……」
そんな事を言って再び重ねられた唇。
彼の両腕に頭を抱えられ、キスしたままその腰が動いて俺を誘った。
ズクッと下半身に訪れる貪欲な雄のサガだ。
彼の太腿に手をかけて開かせ、言われた通り中を擦り上げた。
「んんッ……ん、…っ」
ゴリッと奥の一点を突き上げればくぐもった悲鳴が漏れる。
咄嗟に唇を離そうとしたが、彼の腕がそれを許さず口付けは深まっていく。
「んっ……ンぅ……んッ、」
「……っ」
ああ、なんだよ。
そういう事か。
そんなにしてまで声を聞かせたくなかったのか。
人の唇を利用して彼は声を抑えている。
ショックと言うか、なんだかさすがにちょっとイラッと来た。
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