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「てめえは発情期のオス猿か」
「スミマセン……」
「どうすんだよ。折角の休みに腰が立たねえ」
「スミマセン……」
「さぞかしいい気分だろうよエロガキ。羨ましいよな若いってのは。こっちは老体なんだから少しは労われ」
「スミマセン…………けどあの、あなた全然老体なんかじゃないしむしろ俺よりよっぽど若くてエロ…」
「あッ?」
「……スミマセン」
夢から覚めてみればこんなもので、涙目で熱っぽく俺に好きって言ってくれたこの人は幻となって消えた。
明日まで休みという事もあってか部屋を追い出されなかっただけまだマシだろう。
俺に背を向ける彼をじっと眺め、上掛けから覗く肩にそっと触れた。
様子を窺いつつ、怒られないのをいい事に後ろから軽く抱きしめてみる。
「……あの」
「なんだよ」
「……俺、普通に女の人が好きです」
「……だろうな」
「でも、そんなの関係なくなるくらいあなたが好きだ」
抱いた肩がピクッと動いた。
過去には不特定多数との相手と肉体関係を築いていたらしいこの人だけど、まともな恋愛実績はほとんどないらしい。
少なくとも、男相手に関しては。
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