年上の恋人にヤキモキする

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強いように見せかけて実はすごく臆病になっている。 そんな彼が、俺は心底可愛いと思う。 「俺は本気です。もっと触りたいし、キスだってしたいし声も聞きたい」 「……興醒めすんぞ。男の喘ぎ声なんか聞きたいもんじゃねえだろ」 「もしそうなら俺はさっきあなたを抱けてませんよ。つーか絶対ドン引きされると思ってたんで黙ってましたけど、ここまで信じてもらえないならもう言っちゃいます。実は俺、ここしばらくあなたでしか抜いてません」 「…………」 恥も外聞もなく吐露した俺。 遠い目をしだした彼。 しかし事実なんだから仕方ない。 この人の声で俺は勃つ。 そりゃもうびっくりするくらい天を仰ぐ。 触って愛撫して気持ちいい顔をしてくれれば嬉しいし、あの甘ったるい目元には興奮しないはずがない。 「信じて下さい。好きです、隼人さん。すげえ好きだから、さっきもホント嬉しかった」 「……なにが」 「好きって……言ってくれたじゃないですか。実は初めてなんですよ? 隼人さんはそういう事いつも言わないですもんね」 俺にとってこの人はいつまで経っても尊敬すべきカッコイイ上司で、けれどそれ以上に可愛い恋人でもある。 潤んだ瞳と甘い囁きが忘れられず、ぎゅうっと抱きつくと肩越しに彼が振り返った。 分が悪そうな顔つきはなんだか幼く見えて、思わずふふっと小さく笑うと俺の拘束ももろともせず体をねじってこちらを向いた。 そしてガッと。 俺の目元を覆う大きな手。 「わッ、ちょ、……」 「言ってねえ」 「は?」 「お前の聞き間違いだ。忘れろ」 「はあッ? ちょっと、そりゃないでしょ!」 言うだけ言って、彼はすぐにまた俺に背を向けてしまった。 そのまま一人寝入ろうとするのを防ぐべく、身を乗り出してその顔を覗きこむ。 無理に枕へと顔を埋める彼を、肩を掴んで揺り動かした。 「隼人さん! 寝たふりなんてナシです! こっち向いて下さい!!」 「サカるなよサル。俺の腰が復活したら相手してやるから大人しくしてろ」 「そうじゃねえッ」 年上の恋人はなかなか俺の手中には落ちない。 ゆっくりじっくり時間をかけて落としていく決意はあるけど、果たしてこの人が素直に身を委ねてくれることなんてこの先本当にあるのだろうか。
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