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色っぽく欲情めいた匂いが醸し出されている。
ペロペロとまるで猫みたいに乳首を舐め続けてくるこの人に、あっちへこっちへと翻弄される。
「っ……やめてくださいッ」
「悪いが無理な相談だ」
「なんでッ……っも……ダメですって!」
何を言っても無駄だった。
課長の口も手も止まる事はない。
下半身をまさぐる掌は男らしく大きいけれど、長い指の動きは繊細で、柔らかみのない手のはずなのに欲望は素直に煽られる。
勃起させられたそこを上下に擦られ、先端を指先が掠めれば聞きたくもない水音を耳にして顔を覆いたくなった。
生憎縛られているせいでできないが。
尊敬する憧れの上司だ。
右も左もわからない新入社員だった頃、指導係の先輩は他にもいたけど、この人も自らちょくちょく俺を気にかけてくれていた。
基本的には仕事に対して厳しいから何かミスをすると物凄く怒られる。
そしてとても怖い。
けれど落ち込んでいればさり気なく話を聞いてくれて、飲み屋でこの人に何度泣き言を聞いてもらったかは思い返せばきりがない。
死ぬ訳じゃない。
この先に待ち構えている可能性的未来を実際に体験したとしても、俺の生がそこで終わりを告げる事は決してない。けれどこの頭は走馬灯のように課長と過ごしてきた日々を思い出していた。
この人みたいになりたいと、仕事に飽きたらず男としての目標と思っていた相手に、こんな行為をされてしまっては週明けからどんな顔をして一緒に仕事をしていけばいいのか分からない。
だがそうこう思考を巡らせている間に課長は俺の胸からようやく顔を離し、かと思えば体ごと後方に下がってさっきまで掌で弄り倒していた股間を真上から凝視している。
これはもうダメだ。
嫌な予感しかしない。
ヤラせろ宣言を受けた時以上に顔面から血の気が引いていき、俺はカラッカラに乾いた喉から叫びだすようにして声を上げた。
「課長……ッ!!」
俺が叫んだのと、完勃ちしているそれを課長がパクリと咥えたのとは同時だった。
感じる温かさと舌の柔らかさ。
躊躇いもなくねっとりと舐められ、目を見開いて自分の下半身を凝視した。
俺の足と足の間に挟まり、股間に顔を埋める課長の姿。
有り得ない。
これは夢だと誰か言ってほしい。
しかし人生とは無情なもので、気まぐれに口内からソレを出しては愛おしげにちゅっちゅと口付けていく課長の顔をもろに見てしまった。
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