上司がいろいろスゴかった

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課長の指先が先端の液体を掬い取っていく。 それをちゅくっと口に含まれ、見たくなかった光景を目の当たりにして死にたくなった。 「……若えな」 「…………課長……絶対変だ……おかしいだろこんなの。ふざけんなもう、なんだよコレ」 「ショックすぎて敬語も飛んだか」 「……すみません」 「バカ、責めてんじゃねえよ。そのままでもいい」 会話が成り立ったことにひとまず安堵した。 明らかに完勃ちしている課長のソレも気になるし、その顔つきは相変わらずエロさ全開のままだけど、出てくる言葉は辛うじて普段通りでほっとする。 けれど一息つく暇なんて俺には与えられなかった。 立ち直れない俺をよそに不意に身を乗り出した課長は、ベッドサイドの低い棚を何やらゴソゴソ言わせ始めた。 すぐに目当ての物を掴んだようで、同じ位置に戻ってきた課長の手の中を見てピシッと凍りつく。 だってもう、どう見たってローション。 と、ついでとばかりにコンドーム。 「…………」 「なあ、許せ」 「……待って下さい」 「いい思いしかさせねえよ。保証する」 そんな保証要らない。 何考えてんだこの人。 完璧なイケメンが真っピンクのラブローションなんか常用してんなよ。 その減った半分なんなんだよ、誰と使ったんだ。 言いたい事はごまんとあるが、パクパクと口を開け閉めする以外で俺にできる事は既にない。 あからさまにやらしい液体をトロリと手に落とし、目を逸らすのも忘れている俺に見せつけるかのようにして自らの腕を後ろへと伸ばした。 どうなっているかなんて、この位置にあっては詳細を見る事はできない。 けれどもこの人の顔が物語るのは凄まじい光景な訳で。 「ン……」 卑猥に響く粘着質な水音。 課長の眉間が切なげに寄っている。 俺はこの時ほど自分の想像力を恨んだ事はない。 ぬぷっとローションで濡らした指先が肌に食い込むリアルな音に、バクバクと鳴り止まない俺の心臓が悲鳴を上げた。 「……かちょ、う」 「ッ……は、……なに」 「さっき、風呂で……何して……」 ぐちぐちと自分で後ろを弄りながら、課長は問いかけた俺をそっと見下ろす。 物欲しげな瞳の色を直視して無意識のうちにゴクリと喉がなり、大体の想像はつくのに敢えて本人に聞いてみる自分の愚かさに正直驚いた。 何聞いてんだ俺。 何してんだこの人。
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