雑誌 山隔海結 文月の選考会にて

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雑誌 山隔海結 文月の選考会にて

最終選考 八首 テーマ「私と海」 珊瑚とり 父の骨かと 聞いた時 初めて祖父は 声あげ泣いた (8歳 女) 波止場立ち 妻の名前を 呟けど 姿見せるは 小望月(こもちづき)のみ (48歳 男) 暗い目の ネモ船長と 訪れる 友の墓標は 船員(クルー)の隣に (20歳 男) 時は過ぎ 家の跡には 防波堤 構うものか もう誰もいない (70歳 女) 同じ空 見てるはずだと 人は言う マリンスノウだと あなたなら正す (33歳 女) 窓を開け じっと闇夜の 奥を見る 今日は漁がない 今日も漁がない (52歳 男) 答えがない 君を奪った この浜で 遊んでいいのと 娘は問うが (28歳 男) 戸惑うな 体は小さな 海なのだ 感情だって 満ち引きがある (13歳 男)
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