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三丁目の角を曲がり、繁華街へ入る。小春ママのお店は小さな飲み屋さんだ。雑居ビルが立ち並ぶその一つのビルに入る。チラッと後ろを見ると死神さんはちゃんとついて来ていた。
狭いエレベータに乗り込むと死神さんも入ってきた。四階に着くとエレベータのドアが開く。直ぐ目の前に店の看板とドア。
「じゃぁ、届けてくるので」
後ろの死神さんに声を掛けて店のドアを開けた。
「こんにちはー、フラワーショップ幸本です」
声を掛けると奥の部屋からノッポの小春ママが顔を出した。
「あらぁ~諒ちゃん、御苦労さまぁ~。今日もかわいい~」
肩を交互に前に出すようにクネクネと歩く小春ママは百八十センチの高身長。僕より二十センチ程高い。そのせいか、二十一歳になる僕の頭をいつも可愛いと撫でてくる。
「今日はバラ、アリストロメリア、カーネーションに、オンシジュームで作ってみました。あ、コレ僕が作ったんです。デビュー作」
「やぁ~ん、素敵じゃな~い! 諒ちゃんにとってもよく似合ってるぅ」
「いや、僕に似合っても意味ないですけど、……大丈夫ですかね?」
「大丈夫もなにも、これからは諒ちゃんにお願いしちゃうっ」
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